研究課題
若手研究(B)
平成25年度は、まずバキュロウイルスによる細胞発現系と哺乳細胞発現系による反応性の相違を確認するための準備としてバキュロウイルス発現系による各種組み換え蛋白質の大量作製を行った。-80℃で凍結保存していたバキュロウイルスとSF9昆虫細胞を起こすことから始めた。長期間凍結保存したことによりウイルス抗体価が著明に低下していたため、組み換え蛋白質の発現が非常に少ない事が判明した。そのことから、まずは安定した組み換え蛋白質発現のためにウイルス抗体価を上げる必要があった。本研究ではDsg(デスモグレイン)2の各細胞外領域をDsg1とDsg3の各細胞外領域に置換したDsg1 (あるいは Dsg3)/Dsg2 組み換え蛋白質と、 Dsg2の各細胞外領域をDsc(デスモコリン)1(あるいはDsc3)の各細胞外領域に置換したDsc1-3/Dsg2 組み換えタンパク質の20種類と、Dsg1、Dsg2、Dsg3、Dsc1、Dsc3の計25種類の組み換え蛋白質を必要がある。昨年度からDsg(デスモグレイン)2の各細胞外領域をDsg1とDsg3の各細胞外領域に置換したDsg1 (あるいは Dsg3)/Dsg2 組み換え蛋白質の計10種類のバキュロウイルス抗体価を上げるための作業をクローニングを行いながら進めてきた。Dsg1に関しては、ある程度ウイルス抗体価が上がり、HF5細胞による組み換え蛋白質の安定した発現に関するめどがついてきている。また、国内外それぞれ2施設と共同研究を行い、特殊な天疱瘡に関するエピトープ解析を行い、海外雑誌に投稿し掲載された。
3: やや遅れている
当初の予想に反して、バキュロウイルスのウイルス抗体価が非常に低くなっていたため、安定した組み換え蛋白質の発現が可能となるまでのクローニングに時間と費用を費やした。そのため、平成25年度までに終了予定であった哺乳細胞発現系のためのcDNAサブクローニング、その後の哺乳細胞発現系組み換えタンパク質まで進めることができなかった。
今後は、デスモコリンに関する組み換えタンパク質発現系のためのサブクローニングと、哺乳細胞発現系のためのサブクローニングを推進していく。哺乳細胞発現系による各種組み換えタンパク質の作製後は、昆虫細胞発現系と哺乳細胞発現系による同一血清でのエピトープの比較解析を行う。その後、哺乳細胞発現系組み換えタンパク質を基質としたドメイン特異的ELISAシステムの構築を行い、更に多くの症例のエピトープ解析を行っていく。また、今後も診断や治療に苦慮した天疱瘡のエピトープ解析を病態の解明を行い、随時学会発表や論文発表を行っていく予定である。
当初の予定は、昆虫細胞用ベクターから哺乳細胞ベクターへクローニングを行う予定であったが、バキュロウイルス発現系による組み換えタンパク質の作製が当初の予定より遅れてしまったため、クローニングに使用する試薬などを使用しなかったため、次年度使用額が生じた。今後は、哺乳細胞ベクターへクローニングを行い、その後組み換えタンパク質の作製、ELISA構築を行っていく予定である。
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すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件)
Acta Derm Venereol
巻: in press ページ: in press
10.2340/00015555-1776
Eur J Dermatol