研究課題
バキュロウイルスによる昆虫細胞発現系と哺乳細胞発現系による反応性の相違を確認するための準備としてバキュロウイルス発現系による各種組み換え蛋白質の大量作製を試みたが、ウイルス抗体価が低下していたため、安定した組み換え蛋白質発現のためにウイルス抗体価を上げる作業を行った。本研究ではDsg(デスモグレイン)2の各細胞外領域をDsg1とDsg3の各細胞外領域に置換したDsg1 (あるいは Dsg3)/Dsg2 組み換え蛋白質の計10種類のバキュロウイルス抗体価を上げ、クローニングを進めた。1年目にDsg1に関しては、ある程度ウイルス抗体価が上がり、HF5細胞による組み換え蛋白質の安定した発現を行えるようになった。2年目は、Dsg3のウイルス抗体価を上げる事ができ、実験に使用できるようになった。最終年度:現在使用されている天疱瘡診断用のツールはELISA 法とCLEIA法があり、特にCLEIA法は哺乳細胞発現系を用いたデスモグレインの細胞外領域の組み換え蛋白質を基質として作製されている。今回哺乳細胞発現系でドメイン特異的ELISAを作製予定であったが、市販検査薬に哺乳細胞発現系組み換え蛋白質ELISAが登場したため、哺乳細胞発現系でドメイン特異的ELISAを作製する意義はコスト面で利点に乏しく、昆虫細胞発現系組み換え蛋白質を基質としたドメインELISAを確立すべく、条件設定を行った。また、天疱瘡の自己抗原の一つであるデスモコリン(Dsc)1およびDsc3に関して、当初の計画ではドメイン組み換え蛋白質を作製する予定であったが、Dscが抗原となる天疱瘡の数は多くはないため、ツールとしての有用性の見込みが低いと判断し本研究ではDscドメイン組み換え蛋白質の作製は行わなかった。ただし、下記業績にある哺乳細胞発現系デスモコリンを用いたELISA法を確立して報告した。
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J Dermatol Sci
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10.1016/j.jdermsci.2016.04.001