ループスエリテマトーデスの病変部皮膚の蛍光抗体染色で、表皮基底膜に免疫グロブリンと補体が沈着する現象はループスバンドテストとして知られている。これまでにループスエリテマトーデスの患者血清中に自己免疫性水疱症で検出される抗基底膜抗体が存在することが報告されており、我々の予備実験でも抗BP230抗体が検出された。 H26年度は円盤状ループスエリテマトーデス(DLE)5例についてループスバンドテストを行い検討した。その結果、表皮基底膜部に顆粒状もしくは線状のIgG沈着を1例、3例に、顆粒状もしくは線状のIgA沈着を2例、2例に、顆粒状もしくは線状のIgM沈着を2例、3例に、顆粒状もしくは線状のC3沈着を0例、4例に認めた。毛包上皮の基底膜部についても顆粒状もしくは線状のIgG沈着を3例、2例に、顆粒状もしくは線状のIgA沈着を2例、2例に、顆粒状もしくは線状のIgM沈着を3例、2例に、顆粒状もしくは線状のC3沈着を3例、2例に認めた。 H27年度はDLE 9例と水疱性類天疱瘡(BP)29例のループスバンドテストの結果を比較した。その結果表皮基底膜部ではIgGはBPで有意に高頻度に陽性となり、IgAとIgMはDLEで有意に高頻度に陽性となった。また、陽性になる免疫グロブリンの数はDLEで有意に多く平均3.22であった。同様の検討を6例のDLEと14例のBPの毛包基底膜部で行ったところ、IgAとIgMがDLEで有意に高頻度に陽性となり、陽性になる免疫グロブリンの数はDLEで有意に多く平均3.50であった。ループスエリテマトーデスの患者血清中に自己免疫性水疱症で検出される抗基底膜抗体が存在する場合、BPなどの自己免疫水疱症との鑑別、もしくは合併の可能性について検討する必要があるが、ループスバンドの結果は鑑別および合併の可能性の有無について有用な情報を提供すると考えられる。
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