研究課題
1997年~2014年の腫瘍随伴性天疱瘡(PNP)108例に対し、臨床症状、病理組織学的所見、蛍光抗体直接法、ラット膀胱上皮を用いた蛍光抗体間接法、免疫ブロット法、免疫沈降法について解析し、また、摘出腫瘍の培養細胞上清とヒト表皮抽出液を用いた免疫ブロット法の結果から随伴腫瘍による自己抗体産生の可能性にも言及し、2015年に中間報告した。その後、48例の日本人PNP患者血清でKU-8 cell lineの培養細胞抽出液を基質としたIP-IBを行ったところ、35例がエピプラキンに反応し、抗エピプラキン自己抗体の存在と閉塞性細気管支炎の合併ならびに死亡率との間に有意な相関が認められた。しかしヨーロッパのPNP患者では抗エピプラキン自己抗体の存在と閉塞性細気管支炎合併に有意な相関は見られなかった。更に、健常人ならびに閉塞性細気管支炎患者の肺の組織で抗エピプラキンポリクローナル抗体を用いた免疫染色及び蛍光抗体法を行ったところ、肺胞細胞、特に細気管支上皮細胞にエピプラキンが検出され、培養ヒト小気道上皮細胞を基質としたIP-IBではエピプラキンに反応した。そこで、マウスに抗エピプラキンポリクローナル抗体を投与したところ、組織病理学的に皮膚では変化が見られなかったのに対し、肺では気管支上皮周囲への単核球浸潤と細胞外マトリックスの析出を伴う上皮細胞の棘融解を認め、細胞接着の消失が示唆された。これらの結果から、エピプラキンはPNPの主要な病原性自己抗原の一つであり、PNP関連閉塞性細気管支炎発症への寄与が示唆された。
すべて 2016
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J Invest Dermatol
巻: 136 ページ: 399-408
10.1038/JID.2015.408