当科の過去10年の手術例を検討したところ、CCR5発現の有無と明らかな予後の差、無病生存の差は得ることができなかった。また、臨床病型、腫瘍のサイズ、深達度においても一定の傾向はなく、原発巣におけるCCR5発現と悪性黒色腫の増悪、ないしCCR5発現が予後因子になりうるか、という点においては今回明らかにはできなかった。CCR5発現を増強させる生体側の因子の検索目的に、患者血清中のIL-17A, TNF-αなどの炎症性サイトカインの濃度を確認した。ステージ3までの患者においては有意な差はなく、ステージ4の患者において血清IL-17Aが高い傾向にあったものの、その他には一定の傾向がみられなかった。
|