研究課題/領域番号 |
25860978
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究 |
研究代表者 |
端本 宇志 防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究, 医学教育部医学科専門課程, 助教 (00647844)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 痒疹 / 皮膚アレルギー / STAT6 / STAT3 / M2マクロファージ / そう痒 |
研究概要 |
マウスのIgE依存性慢性皮膚アレルギー炎症を改変することにより、痒疹類似病変を作成することができた。これは、肉眼的にヒトにおける痒疹結節と同様の結節が惹起され、組織学的にも表皮の肥厚とともにリンパ球や組織球、好酸球、好塩基球の浸潤が見られ、ヒトの結節性痒疹と類似していた。この病変はIgE依存性、好塩基球依存性であり、サイトカインプロファイルはTh2環境、Th17環境優位であり、ヒト痒疹のサイトカインプロファイルと同様の傾向を示した。 Th2環境優位であることから、Th2伝達シグナルであるSTAT6を欠損したマウスを用いて痒疹類似病変を惹起したところ、予想に反して反応は増悪した。この機序として、野生型マウスではTh2サイトカイン(IL-4、IL-13)により血液中炎症性サイトカインがM2マクロファージに分化して炎症を抑制すること、STAT6欠損状態では、Th2サイトカインのシグナルが伝達されず、炎症性サイトカインがM2マクロファージに分化できないため、炎症抑制機構が機能せずに炎症が増悪することが確認された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
痒疹モデルマウスの樹立から始まり、その病変におけるサイトカインプロファイルの確認、好塩基球による炎症増悪機構やTh2シグナル伝達系を介したM2マクロファージによる炎症抑制機構が相当にわたり解明されたことから、本研究はおおむね順調に進展している、と評価する。
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今後の研究の推進方策 |
本研究では既に痒疹モデルマウスの作成とその炎症増強機構・炎症抑制機構の解明が進んでいる。これに対して病変部のそう痒の成因については、現在まだ検討中である。そう痒の成因として、そう痒関連サイトカインの増加や病変部表皮内神経伸長などが確認されているが、その制御機構についてはまだあきらかでは無い。とくに好塩基球と表皮内神経伸長との関連、とくに神経伸長因子であるNerve growth factorやAmphiregulin、神経反発因子であるSemaphorin 3Aの表皮細胞での発現が本モデルマウスでどのように制御されているのか、その制御機構と好塩基球、そう痒性サイトカインとはどのように連関しているのか、を、次年度以降の研究で解明していく。具体的に、モデルマウスでの上述の蛋白やmRNAの発現を確認し、その制御機構をシグナル伝達経路や細胞応答レベルで検討する。
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次年度の研究費の使用計画 |
本学では入札制度により物品を調達しており,予想価格と入札価格に差があったため次年度使用額が生じた。 適宜必要な物品、試薬などを購入する。
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