今後の研究の推進方策 |
これまでに検討により、特発性のむずむず脚症候群とは異なり、ナルコレプシーでは髄液中のトランスフェリンと鉄イオンが有意に高値であり、鉄代謝が昂進している可能性も考えられる。この所見はオレキシン神経の脱落による1次的なものか、ドーパミン代謝の昂進の代償等による2次的なものであるのかは不明である。 ナルコレプシーでは周期性四肢運動障害が高率にみられるが、治療薬への反応も異なるとされ、鉄代謝の病態生理と合わせて、病態は異なると考えられた。現在は詳細な検討を行っている途中であるが、周期性四肢運動の数(PLMS index)とトランスフェリンの値が正の相関があることが判明している(r=0.61, p=0.045, pearson’scorrelation)。次いで、血清中では正の相関は示さないと考えられるフェリチンとトランスフェリンの値に正の相関があることが判明している(r=0.508, p=0.038, Pearson (parametric), r=0.601, p=0.011, Spearman (non-para) )。鉄イオンと年齢と性別で標準化した%BMIにも正の相関が認められた(r=0.634, p=0.020, Pearson (parametric))。この結果については、栄養状態が良いと想定される%BMIが高値の人ほど、鉄イオンも高値であるのでは無いかと考えている。今後とも計画に沿って、多数例の症例を集積して、脳脊髄液中の測定実験等をすすめて行く予定である。 26年度は当初の予定より多くの症例で、オレキシン値、AQP4抗体を測定したいと考えている。またフェリチンとトランスフェリン、鉄イオンも対象疾患を広げての測定を検討する。
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