研究実績の概要 |
特発性のむずむず脚症候群の場合とは異なり、ナルコレプシーでは髄液中のトランスフェリンと鉄イオンが有意に高値であり、鉄代謝が昂進している可能性を考えている。この所見はオレキシン神経の脱落による1次的なものか、ドーパミン代謝の昂進の代償等による2次的なものであるのかは不明である。ナルコレプシーでは周期性四肢運動障害が高率にみられるが、治療薬への反応も異なるとされ、鉄代謝の病態生理と合わせて、病態は異なると考えられた。現在は詳細な検討を行っている途中であるが、周期性四肢運動の数(PLMS index)とトランスフェリンの値が正の相関があることが判明している(r=0.61, p=0.045, pearson’s correlation)。次いで、血清中では正の相関は示さないと考えられるフェリチンとトランスフェリンの値に正の相関があることが判明している(r=0.508, p=0.038, Pearson (parametric), r=0.601, p=0.011, Spearman (non-para) )。鉄イオンと年齢と性別で標準化した%BMIにも正の相関が認められた(r=0.634, p=0.020, Pearson (parametric))。この結果については、栄養状態が良いと想定される%BMIが高値の人ほど、鉄イオンも高値であるのでは無いかと当初は考えていた。しかし最近のパーキンソン病の中で睡眠障害のある群と無い群の比較検討をした報告では(Yu, Plos One 2013)、我々のデータと同様に睡眠障害のある群では、髄液中のトランスフェリンと鉄イオンが有意に高値であり、睡眠障害に特有の可能性を考えている。
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