研究課題/領域番号 |
25860988
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
橋本 佐 千葉大学, 医学(系)研究科(研究院), 特任講師 (60396679)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | Sensory Gating / 不安障害 / 気分障害 / 聴覚誘発電位 / P50抑制 |
研究実績の概要 |
①「不安障害・気分障害におけるP50抑制と不安症状の相関解析」については、平成28年3月31日までに、気分障害として、双極性障害39名、大うつ病性障害18名である。不安障害については、パニック障害27名、強迫性障害12名、社交不安障害4名、全般性不安障害4名、と特にパニック障害のリクルートが進んだ。今後は、不安症状の評価尺度であるハミルトン不安評価尺度(HAM-A)のスコアとP50データについてデータ解析を行う。中間解析であるが、平成28年2月13日時点(第127回日本心身医学会関東地方会)で、パニック障害患者14名について、HAM-Aとの相関解析を行ったところ、P50 T/C ratio(高いほど感覚ゲート機構の障害を反映すると判断する)と、HAM-A全スコアにおいては相関は認めなかったが、不安精神症状の中核である、「不安気分」、「緊張」、「恐怖」の3つのサブスケールについては、P50 T/C ratioとの間で、Pearsonの相関係数0.525(P=0.054)と、有意ではないが正の相関をとる傾向を認めた。 ②「うつ状態患者におけるP50抑制の双極性障害診断バイオマーカーの2年間追跡調査研究」については、40人のエントリーがすでに完了しており、H28年9月から順次、2年間の観察終了者について調査を行っていく。 ③「P50抑制と関連遺伝子多型解析を行い、感覚ゲート機構と精神疾患の関連遺伝子の解明」については、P50測定との同時遺伝子サンプリングが現時点では遅滞している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
①「不安障害・気分障害におけるP50抑制と不安症状の相関解析」は、パニック障害以外の不安障害サンプリングが十分でない。 ②「うつ状態患者におけるP50抑制の双極性障害診断バイオマーカーの2年間追跡調査研究」については、エントリーが完了しているが最終エントリーが平成27年8月になったため、全体のデータ解析が平成29年度になってしまう。 ③「P50抑制と関連遺伝子多型解析を行い、感覚ゲート機構と精神疾患の関連遺伝子の解明」については、P50測定と同時の遺伝子サンプリングが被験者への負荷となるケースが多く進捗が遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
①「不安障害・気分障害におけるP50抑制と不安症状の相関解析」は、データ解析の対象をサンプリングが進んでいるパニック障害に限定する計画変更を行うことで30人程度の解析可能な被験者数で解析ができ、本研究の本質である、「不安と感覚ゲート機構」の仮説を検証することが可能と考える。 ②は粛々と進めていく。 ③については、P50データのある遺伝子サンプルの確保が困難であるため、①の結果によっては、当教室で過去にサンプリングしたパニック障害の遺伝子を用いて多型解析することも検討している。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初の計画より研究が遅れているため当該年度の使用額が見積もりより少なくなり、次年度使用額がプラスになった。
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次年度使用額の使用計画 |
論文投稿・学会発表に関する校正など。
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