研究実績の概要 |
① 「不安障害・気分障害におけるP50抑制と不安症状の相関解析研究」については、不安障害の中でも特に、パニック障害(パニック症)について29名の参加を得られた。29名中、2名はノイズにより波形測定が困難であったため、27名のパニック障害患者についてデータ解析を行った。P50 T/C ratio (数値が高いほど脳の感覚ゲート機構が働いていないことを反映する)と、不安症状の評価尺度であるハミルトン不安評価尺度(HAM-A)のスコアについて相関解析を行ったところ、HAM-A総スコアとの相関は認めなかったが、不安症状を直接的に評価する、「不安気分」、「緊張」、「恐怖」の3つのサブスケールとP50 T/C ratioの間で、Pearson の相関係数が0.340 (p=0.083)と、有意ではないが正の相関傾向を認めた。
②「うつ状態患者におけるP50抑制の双極性障害診断バイオマーカーの2年間追跡調査研究」においては、40人の登録者の内、23人が2年間の追跡が終了している。平成29年4月20日時点で、2年後の面接完了が16人、フォローできない脱落者が2人、面接日時の調整中が5人、追跡中が17人である。
③「精神疾患の感覚ゲート機構関連遺伝子の解明を目的とした、P50抑制の関連遺伝子多型解析研究」については、P50測定患者の同時の遺伝子サンプリングが困難であったことから、千葉大学精神医学教室のパニック障害・健常者の遺伝子サンプル、それぞれ100人、150人を用いて、P50抑制に影響を与える4つの単一遺伝子多型(rs28531779, rs9960767, rs10401120, rs17597926)のタイピングを実施中である。
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