研究課題/領域番号 |
25860991
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
上里 彰仁 東京医科歯科大学, 医歯(薬)学総合研究科, 助教 (90547449)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 死後脳 / 精神疾患 / 発達依存性 / 遺伝子発現 |
研究概要 |
本年度は、統合失調症や気分障害などの精神疾患の発達依存性リスク遺伝子として位置付けている複数の遺伝子のmRNA発現を検討するために、オーストラリアの死後脳バンクVictorian Brain Bank Network(VBBN)から死後脳サンプルを取り寄せた。これを用いて、動物実験により視床に特異的な発現を確認したLmod2について、DIGシステムを利用したin situ hybridizationを行った。繰り返し実験を行ったがヒト死後脳ではLmod2 mRNAの発現を確認することはできなかったため、サンプルの品質やプローブの適性を調査中である。 同時並行して、我々が遺伝子関連解析で統合失調症との関連を見出したSAP97について、スタンレー死後脳バンクの統合失調症死後脳サンプルを用いてqRT-PCRにより定量したmRNA発現データの解析を行った。 さらに、VBBNのディレクターであるDr. Brian Deanおよび米国アラバマ大学精神科のDr. James H. Meader-Woodruff とのコラボレーションである死後脳研究を継続した。NMDA型グルタミン酸受容体サブユニットに関し、申請者はmRNA発現解析を担当し、MK801結合能解析およびタンパク発現解析が行われた。統合失調症および気分障害死後脳において、各サブユニットの発現や結合能に健常対照群と比べて有意な差異を認め、これを報告する論文が投稿された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
既にデータが得られている死後脳研究については順調に解析が進められている。一方で、Lmod2遺伝子については、動物の死後脳ではmRNA発現を確認することができたが、ヒト死後脳では現時点で確認できていない。これにより、統合失調症や気分障害などの精神疾患患者と、健常対象者の比較実験に進んでいない。
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今後の研究の推進方策 |
データが得られている遺伝子に関しては、精神疾患患者と健常対象者を比較した解析を継続し論文投稿の準備を進める。 ヒト死後脳で発現を確認できなかった遺伝子に関しては、ポジティブコントロールを用いて死後脳サンプルの品質を検査したり、プローブを再設計するなどした上で再実験を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
前記のとおり、一つの遺伝子に関してはヒト死後脳におけるmRNA発現が確認できていないため、研究にやや遅れが生じている。当該年度の研究は次年度に繰り越すことにした。 次年度は当該年度で行う予定であった研究を継続して行う。動物実験、死後脳サンプルを用いた発現解析実験に費用を使用する。
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