研究課題/領域番号 |
25860997
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
篠山 大明 信州大学, 医学部, 助教 (90447764)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | autism spectrum disorder / cytokine / depression |
研究概要 |
研究対象者からの血清サンプルおよび臨床データを収集する体制が整い、データ収集を開始している。大部分の研究対象者においては、知能検査を含む複数の心理検査の結果を得ることができており、自閉症スペクトラム障害の特性とさまざまな心理検査結果との関係を確認することができた。明確なうつ病症状のみられる対象者は想定していたより少なかったため、うつ病症状に限らず幅広く臨床データを収集しサイトカインとの関連を調べていく予定としている。 現時点で、自閉症スペクトラム障害の特性、抑うつ症状、認知機能のあいだにさまざまな関連があることを確認できている。まず、抑うつ症状がある子どもほど成人への反抗が強いこと、自閉症スペクトラム障害の特性が強いほど抑うつ症状を生じやすい傾向などが明らかとなった。また、認知機能との関連においては、一部の自閉症スペクトラム障害の特性の強さが特定の認知的能力と相関関係にあることや、特定の認知機能が低い子どもほど大人と口論することが多い傾向がみられることが確認できた。また、乳幼児期の対人関係の特徴が成長後の言語理解能力と強く関係していることも明らかとなった。一方で、抑うつ症状を生じた子どもと認知機能プロフィールには、現時点では明らかな関係を確認できていない。 血清サイトカイン濃度の測定は、サンプルがそろってから一度に行う予定であるため、サイトカインと臨床データとの関連はまだ調べることができていない。自閉症スペクトラム障害の特性を有することが抑うつ症状の生じやすさと関係していることがこれまでの結果から示唆されていることを踏まえて、今後、うつ病症状の変化および自閉症スペクトラム障害の特性とサイトカイン濃度との関係を調べていく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究対象者からの血清サンプルと臨床データを収集する体制を整えることができ、予定通りデータの収集を行えている。
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今後の研究の推進方策 |
今後、引き続き、血清サンプルと臨床データの収集を継続し、予定数に達した時点で、血清中サイトカイン濃度の測定を行う。そのうえで、臨床データと血清中サイトカインとの関係を調べる。うつ病症状のみられる対象者が想定していたより少ないため、うつ病症状に限らず幅広く臨床データを収集しサイトカインとの関連を調べていく予定である。 平成26年度中に、血清中サイトカイン濃度の測定を終え、認知機能プロフィール、自閉症スペクトラムの各特性、多動・不注意・衝動性、発達の経過、抑うつ症状などの臨床症状が、対象者のサイトカインプロフィールとどのような関係にあるかを調べる。
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次年度の研究費の使用計画 |
受託解析による測定を予定していたが、サンプルをすべて集めてからまとめて測定する必要があることから、次年度に行うこととした。これにより、次年使用額が生じた。 当初平成25年度に行う予定であった解析ともともと平成26年度に行う予定であった解析をまとめて平成26年度に行う予定であり、受託解析に必要な経費として用いる。
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