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2016 年度 実績報告書

うつ病の社会機能を向上させる要因に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 25861000
研究機関名古屋大学

研究代表者

岩本 邦弘  名古屋大学, 医学系研究科, 講師 (50569796)

研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2017-03-31
キーワードうつ病 / 社会機能 / 運転技能 / 社会復帰 / 向精神薬
研究実績の概要

うつ病患者の社会機能の1つとして、具体的な日常生活動作である自動車の運転技能に着目し、健常対照群との比較において、うつ病患者の運転技能の実態を把握し、運転技能と認知機能、症候学的評価、処方薬との関係を検討することで、うつ病患者の社会機能を向上させる要因を明らかにすることを企図した。
最終年度までに、うつ病患者70名(42±7歳)と健常対照群67名をリクルートした。研究参加者は、運転免許を有し、運転歴があることを確認している。うつ病患者の多くが寛解しており、処方内容は、抗うつ薬単剤率64%、ベンゾジアゼピン併用率61%、抗精神病薬併用率33%であった。また、うつ病患者群は健常群に比し、教育歴、運転頻度、年間走行距離、社会適応度が有意に低く、抑うつ傾向が有意に高い結果であった。うつ病患者群の運転技能は健常群と統計学的有意には異ならなかったが、認知機能については遂行機能課題の一部で成績低下が認められた。患者群の運転技能はばらつきが存在し、年間走行距離が有意に影響していた。患者群の運転技能と背景情報、認知機能、症状評価尺度の関係について、重回帰分析を行った所、年間走行距離が弱いながら有意に運転技能に影響していた。患者群の運転技能について、健常群範囲内と範囲外の2群で検討したところ、処方薬の偏りは認められず、社会適応度と年間走行距離が有意に異なった。社会適応度については、カットオフ値で2群に分けて検討した所、運転技能が有意に異なっていた。
これまでの研究実績から、うつ病患者の運転技能はばらつきがあるものの、健常者に比して有意な低下は認められず、向精神薬の慢性投与は、運転技能に強く影響しない可能性が示唆された。むしろ、走行距離などの運転行動や自記式社会適応度が影響し、これら要因が社会機能の評価として重要であることが示唆された。

  • 研究成果

    (9件)

すべて 2017 2016

すべて 雑誌論文 (5件) 学会発表 (3件) (うち招待講演 3件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] うつ病患者の社会復帰を考える際に望ましい薬物療法とは2017

    • 著者名/発表者名
      宮田明美,岩本邦弘,尾崎紀夫
    • 雑誌名

      臨床精神薬理

      巻: 20 ページ: 277-282

  • [雑誌論文] 向精神薬が自動車運転に与える影響2017

    • 著者名/発表者名
      岩本邦弘,河野直子,尾崎紀夫
    • 雑誌名

      精神科

      巻: 30 ページ: 346-352

  • [雑誌論文] 気分障害を持つ人のための「自動車運転に関する心理教育」を考える2017

    • 著者名/発表者名
      木村卓,岩本邦弘,河野直子,尾崎紀夫
    • 雑誌名

      精神医学

      巻: 59 ページ: 301-310

  • [雑誌論文] 自動車運転と薬物問題-向精神薬2017

    • 著者名/発表者名
      岩本邦弘,尾崎紀夫
    • 雑誌名

      Modern Physician

      巻: 37 ページ: 138-140

  • [雑誌論文] 自動車運転を考慮した薬物療法の適性化2016

    • 著者名/発表者名
      岩本邦弘,河野直子,尾崎紀夫
    • 雑誌名

      臨床精神薬理

      巻: 19 ページ: 1419-1429

  • [学会発表] 高齢者医療と運転の諸問題:認知機能と運転に着目する2016

    • 著者名/発表者名
      岩本邦弘
    • 学会等名
      第25回日本交通医学工学研究会学術総会
    • 発表場所
      名古屋大学(愛知県名古屋市)
    • 年月日
      2016-09-22 – 2016-09-22
    • 招待講演
  • [学会発表] 向精神薬と自動車運転2016

    • 著者名/発表者名
      岩本邦弘
    • 学会等名
      第18回応用薬理シンポジウム
    • 発表場所
      名古屋大学(愛知県名古屋市)
    • 年月日
      2016-08-06 – 2016-08-06
    • 招待講演
  • [学会発表] 精神障害と自動車運転:分かっていることとは何か?2016

    • 著者名/発表者名
      岩本邦弘
    • 学会等名
      第112回日本精神神経学会学術総会シンポジウム
    • 発表場所
      幕張メッセ(千葉県千葉市)
    • 年月日
      2016-06-02 – 2016-06-04
    • 招待講演
  • [図書] 今日の精神疾患治療指針2016

    • 著者名/発表者名
      岩本邦弘,尾崎紀夫
    • 総ページ数
      1029 (999-1000)
    • 出版者
      医学書院

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公開日: 2018-01-16  

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