研究課題
本研究の目的は、TCF4遺伝子多型の中間表現型及び機能解析を行うことである。これまでに中国人サンプルを用いた再現研究において、TCF4の遺伝子多型rs2958182が統合失調症患者と関連することが報告されている。しかし、この遺伝子多型の機能はよく分かっていない。この遺伝子多型rs2958182は日本人にも共通して存在する遺伝子多型であったため、機能解明のために統合失調症で障害される認知機能、生理機能、脳構造を用いた中間表現型解析を行った。224名の統合失調症患者において、遺伝子多型rs2958182と様々な中間表現型との関連を検討した結果、リスクTアレルを持つ患者は、非リスクジェノタイプを持つ患者と比べて、自記式性格傾向を見る質問紙TCIにおいて新奇性追求が低いことを見出した。また、125名の統合失調症患者と333名の健常者において、リスクTアレルを持つ患者は、非リスクジェノタイプを持つ患者と比べて後部帯状回の灰白質体積が小さいことを見出した。平成26年度は、死後脳サンプルを使用して背外側前頭前皮質におけるTCFの遺伝子発現量を測定した。死後脳サンプルはAustralian Tissue Resourse Centerから健常者、統合失調症患者各37名分を使用し、Stanley Medical Research Institute (SMRI)から各群35名分を使用した。その結果、いずれの施設の死後脳サンプルにおいても、健常者と統合失調症患者に明らかな遺伝子発現量の違いはみられなかった。SMRIのデータベースでは統合失調症においてTCF4遺伝子発現量は増加しており、今回の結果と矛盾する。理由としてプローブ番号の違いや位置の違いが考えられるが、今回の結果からは成人統合失調症患者において、TCF4の転写レベルでは健常者と明らかな違いはないことが示唆された。
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