研究課題
平成25年度にはヒト培養神経細胞におけるmiR-137とRA/BDNFで誘導される突起進展との関与について検討を行ったが、平成26年度はマウス初代神経細胞におけるmiR-137と細胞の増殖、分化(突起進展)との関与について検討を行った。C57BL/6Jマウス胎児大脳皮質由来神経細胞を14日間培養し、miR-137の発現変動を定量PCRにより調べたところ、培養日数が増えるとともにmiR-137発現も増大し、分化の指標となる突起進展も起きることが認められた。さらに、miR-137の標的遺伝子とされるCsmd1、Cacna1c、Tcf4、D19Wsu162e(ヒトではC10orf26)の発現変動についても検討した結果、Csmd1およびCacna1cは培養日数が増えると発現量が増大し、Tcf4およびD19Wsu162eについては発現量に変化は認められなかった。これらの結果より、マウス初代神経細胞においてmiR-137と突起進展との関連については不明なままであるが、miR-137と標的遺伝子の関連は認められないことが示唆された。近年、microRNAは疾病マーカーとしての可能性を示唆する論文が多数報告されていることから、平成26年度の新たな研究としてヒト血漿中のmiR-137の測定を試みた。ヒト血漿から専用のmicroRNAを抽出するキットを用いてトータルmicroRNAを抽出し、内部標準として用いられるmiR-16とmiR-137を定量PCRで測定したところ、miR-16は感度良く測定できたがmiR-137は測定できなかった。以上のことから、miR-137は統合失調症の疾病マーカーとして活用することは難しいことが示唆された。
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