研究課題
岡山大学病院・ジェンダーセンターを受診し、詳細な問診・身体的な検査により性同一性障害と診断された患者から同意を得てDNAサンプルを採取した。初年度には、脳の性分化に関連していることが推測されるCYP19遺伝子の遺伝子多型のうち、機能が明らかになっている多型(rs2899470、rs240152)について関連解析を行ったが、解析した多型のいずれについても、性同一性障害との関連は解明できなかった。そこで、次年度は候補遺伝子解析ではなく、網羅的に遺伝子解析を行うことで、性同一性障害の病態にかかわる分子の発見を目指した。性同一性障害の臨床症状は比較的均一であるが、とりわけfemale-to-male (FTM)でその傾向が強く原因因子のもつエフェクトサイズも大きいと考えられるため、96例のFTMについて、ジャポニカアレイ(東芝)を用いて網羅的な解析を行った。本研究においては、当初はAffimetrix社のAffimetrix Genome-wide Human SNP Array 6.0を用いてFTM50例を対象に解析する計画であったが、研究を遂行する期間中にジャポニカアレイが開発され低コストでの解析が可能となったため、このジャポニカアレイを用いることでより多数のサンプルでの解析が可能と判断し、使用するアレイを変更した。しかし、当初計画していた約2倍のサンプルでの解析が可能になった一方で、アレイによる解析の日程が遅れたため、現在統計解析が終了できていない。今後、できるだけ速やかに解析を進め、性同一性障害の病態に関わる分子の同定を行う予定である。
すべて 2014
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 謝辞記載あり 3件) 学会発表 (2件)
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