研究課題/領域番号 |
25861009
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
瀬川 昌弘 広島大学, 医歯薬保健学研究院(医), 特任助教 (20457253)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | うつ病のバイオマーカー / BDNFアンチセンス / proBDNF / DNAメチル化 / セロトニントランスポーター |
研究概要 |
本研究では、うつ病の新たな発症機序の解明、および診断バイオマーカーの開発を目的として、課題1)うつ病患者の血中proBDNFの計測による、BDNFのプロセッシング障害とうつ病発症機序の解明、課題2)うつ病患者の血中BDNFのアンチセンスRNAの計測による、新たなBDNF低下の機序の解明、課題3)うつ病患者の末梢血DNAを用いたDNAメチル化解析による診断バイオマーカーの開発に取り組んだ。本年度は、課題1)では、市販ELISAは検出感度が悪く、サンプルの約30%が測定不可であったが、北里大学高橋正身先生らが独自に開発したELISA法を用いたところ同割合を約5%にまで向上させることに成功した。今後うつ病患者の血清proBDNF濃度を測定する予定である。課題2)では、健常者白血球由来RNA中のBDNFアンチセンスRNAを測定した結果、real-time PCR法検出限界ぎりぎりのごく微量しか存在しないことが明らかとなった。RNA抽出や逆転写条件の検討により幾分検出感度の向上に成功した。今後、さらに検出感度の向上条件の検討を行い、うつ病患者サンプルを用いて測定する予定である。課題3)では、抗うつ薬の治療ターゲットと考えられているセロトニントランスポーター(5HTT)遺伝子について、健常対象者と未治療うつ病患者の末梢血よりゲノムDNAを抽出し、MassARRAY SYSTEMを用いることで5HTT遺伝子のエクソンI近傍のCpGアイランドのメチル化をクラスタリング解析した。結果健常者とうつ病患者を分類することは困難であったが、特定のCpG アイランドのメチル化がうつ病における過去のストレスの影響や治療反応性を推測できる可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
課題1については、当初の方法では検出能力が不十分であったが、proBDNFに精通した研究者に助言を求め、より精度を高めた方法を習得することができている。課題2については、当初の方法では検出限度の限界に近い微量なRNAを健常者とうつ病群で比較するには、検出感度が不充分であることが判明た。新たに検出感度向上をもたらす条件を模索する必要性が出てきたために、すでに取り組んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
課題1については、新たな方法は確立されており、今後目的のサンプルを解析することで十分に達成できる見込みがある。課題2では、条件検討を十分に行った上で、サンプルの解析を進める。
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