研究課題/領域番号 |
25861011
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
松原 敏郎 山口大学, 医学部附属病院, 講師 (60526896)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | neurofeedback / mindfulness / depression / emotion |
研究概要 |
本研究は、抗うつ薬のような副作用を認めないうつ病に対する新たな生物学的治療を開発するために、near-infared spectroscopy (NIRS)を用いたneurofeedback法を作成し、うつ状態のうつ病患者にneurofeedbackを施行し、その治療効果を確認する介入研究である。 健常者やうつ病患者を対象にしfMRIを用いたneurofeedbackの既報では、前頭葉、扁桃体などの気分調整に関与する脳領域の活性を増加させるために、家族の写真や自伝的な良い思い出といった単純な気分を刺激する課題を用いている。既報におけるneurofeedbackの問題点としては、その治療効果が長期間、持続するかどうかである。われわれはneurofeedbackの効果をより持続させるために、他の効果的で確かな課題はないか検討した。 うつ病への薬物療法以外の治療法の筆頭は認知療法である。これは1970年代からベックによって提唱され、うつ病への有効性が認められてきた治療法であり、刺激に対する否定的な認知を改めることにより不快な気分を引き起こすのを防ぐ治療法である。われわれが調べたところ、この認知療法の最近の潮流としてマインドフルネス(mindfulness) ストレス軽減療法(mindfulness-based stress reduction;MBSR)が登場している。これは否定的な認知を改めるのではなく、距離を置くという、より簡便なやり方であり、気分調整に効果的であるという報告も認めている。われわれはこれをneurofeedbackの課題に取り入れるべく、山口大学教育心理学教室と検討を重ね、実際の課題を作成した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
neurofeedbackにマインドフルネスを用いた報告は今までになく、課題の作成に時間を要した。
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今後の研究の推進方策 |
①マインドフルネスを元にした認知課題が、気分と関係すると報告されている前頭前野の脳領域を賦活し、気分調整に影響を与えることを、健常人を対象にNIRSを用いて確認する。 ②軽度~中等度のうつ状態の外来うつ病患者を対象に、neurofeedbackを施行する群と、sham-neurofeedbackを施行する群に分け、NIRSとマインドフルネス課題を用いた介入研究を開始する。
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次年度の研究費の使用計画 |
課題の作成が遅れ、初年度予定していた予備的調査(健常人でのneurofeedbackの施行)が行えなかったため。 次年度は健常人に加え、実際のうつ病患者を対象としたneurofeedbackによる介入研究を行う予定であり、その際の検査料等に使用する予定である。
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