研究課題/領域番号 |
25861012
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研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
綿貫 俊夫 山口大学, 医学部附属病院, 助教 (80610865)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 気分障害 / NIRS / SRp20 |
研究実績の概要 |
以前明らかにした気分障害患者の末梢におけるSRp20mRNAの発現量異常を再現するとともに、この発現量と脳体積、脳機能異常に関連があるのかを評価する。また、気分障害患者に適応障害患者を加えて、大うつ病性障害よりも遺伝的・生物学的要因を強く受ける双極性障害と、心理社会的ストレスの影響を強く受ける適応障害とを比較することによって、生物学的要因と心理社会的要因がSRp20mRNA発現量と気分調整にかかわる脳病態にどのように関与しているかを明らかにする。方法論的には、末梢での遺伝子発現の変化が、中枢での発現量の変化を反映するかどうかは解明されていないものの、気分障害関連の遺伝子において、末梢と中枢で共通して遺伝子発現が変化しているという報告は多く存在し、注目を集めている。予想される結果は、SRp20mRNA発現量や海馬体積・前頭葉機能の異常は、双極性障害で最も強く、次いで大うつ病性障害で、適応障害と健常者は同等であることを想定している。 山口大学医学部附属病院精神科神経科に通院または入院中の気分障害患者、適応障害患者のリクルートを開始し、山口大学医薬品等治験・臨床研究等審査委員会(IRB)により承認を受けた文書を用いて研究に関する説明を行い、文書での同意が得られた患者のみ本研究に参加頂いた。合わせて健常者のリクルートも開始し、多くの方にご協力頂いた。被験者となった方々には、予定通りNIRS ETG4000(Hitachi Medico.)、頭部MRI(Siemens Skyra 3T)、診断面接、自記式アンケートの記入、評価尺度の判定を行い、遺伝子解析用の血液サンプルの採取を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
予定していたリクルート被験者数は双極性障害30名、うつ病30名、適応障害30名、健常者30名(合計120名)であった。そのうち、現段階で双極性障害13名、うつ病25名、適応障害13名、健常者57名(合計108名)のリクルートが完了した。患者リクルートに関しては、平成25年度と26年度で終了する予定であったが集めきれていないため、平成27年度も継続してリクルートを行っていく。被験者については、全員NIRS、頭部MRI、診断面接、自記式アンケートの記入、評価尺度の記入が終了している。遺伝子解析用の血液サンプルの収集についても採取済みであるが、遺伝子解析は全被験者サンプルが集まってから解析する予定としたため、まだ開始できていない。
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今後の研究の推進方策 |
平成27年度も平成25年度および26年度と同様に山口大学医学部附属病院精神科神経科に通院または入院中の気分障害患者、適応障害患者のリクルートを継続する。被験者には引き続き、病院所有のNIRS、頭部MRIを施行し、遺伝子解析用の血液採取、診断面接、自記式アンケート、評価尺度の記入を適宜行っていく。全被験者サンプルが集まった段階でSRp20mRNA発現量の解析を開始する。平成27年度の前半を目途に予定した被験者数を集め終えることを目指している。また、予定被験者数が集まり次第、統計解析を行い、SRp20mRNAの発現量と脳体積、脳血流との関連を検討していく。平成27年度の後半には結果をまとめて論文化することを目指している。
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