研究課題/領域番号 |
25861017
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
村山 桂太郎 九州大学, 医学(系)研究科(研究院), その他 (20645981)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 強迫性障害 / ワーキングメモリ |
研究概要 |
強迫性障害の原因として神経生物学的な関与が強く示唆されおり、前頭葉-視床-線条体回路の調整障害が有力な原因モデルとして提唱されてきた。ワーキングメモリとは学習や推測、理解といった認知課題を遂行するために一時的に情報を保つ機能であり、主に前頭葉、頭頂葉といった脳部位がその機能を担っていると考えられている。強迫性障害において治療前後におけるワーキングメモリの変化と脳賦活の変化を調査する事は本疾患の脳神経学的な病態解明につながると考えられる。 研究の対象者は2001年4月から2007年3月の間に九州大学病院精神科強迫性障害専門外来に受診した対象者のうち、強迫性障害として診断され、治療効果比較研究に参加した46名を対象者とした。プラセボ投与の対象者を除き、行動療法もしくは薬物療法による治療(12週間)の前後における強迫症状及び抑うつに関する臨床評価、ワーキングメモリの評価検査であるN-back taskを含む神経心理学的検査、fMRIデータについて全てのデータ解析が可能だった者は13名であった。この13名を治療開始前と治療終了後のワーキングメモリの変化と脳賦活部位の変化について解析を行った。 また、統制的治療終了後の長期経過時(約8年経過)の強迫症状及び抑うつの臨床評価、ワーキングメモリの評価を施行するために対象者には郵便で連絡をとり、18名から返事を得て来院検査を実施協力対象者は13名であった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
解析ソフト(SPM8)にてfMRIの画像データの解析を施行したが、一部の画像データが個人解析出来ない状況であったために解析の遅延が発生した。治療前後のn-back task下における脳賦活を比較する画像データ解析が終了した時点で本研究内容を発表予定であった2013年度の学会が終了していたため平成25年度の学会発表は出来なかった。長期経過後の調査に関しては、はがきで連絡がとれた者が18名であった。治療終了後から平均8年が経過しており、転居などに伴い住所が変更になっていた事が原因と考えられた。今後、この長期経過後の臨床評価について、治療前の臨床評価と比較解析する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
長期経過時における対象者のワーキングメモリの評価、臨床評価については、対象者がすでに住所不定となっている者がおり、本年度以上に対象者が増える可能性は無いと考える。また、治療前後のfMRI画像データにおいても画像解析ソフトで解析が出来ないデータが存在していた。そのため、研究対象者の人数が当初の計画よりも少なくなるという問題が発生している。そこで追加調査として、健常者17名と治療前の強迫性障害対象者13名におけるn-back task下における脳賦活の比較を行い、強迫性障害における視覚的ワーキングメモリと関連脳部位の特徴を調査し、研究の内容を深める予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
解析の遅れによって発表の為に参加する予定であった国際学会に参加できなかったため 強迫性障害研究の第一人者であるDavid Mataix-colsとの研究打ち合わせのために平成26年6月にStockholmのKarolinska Instituteを訪問する旅費として使用する。また解析能率の向上とデータ管理のためにパソコンの購入を予定している。
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