本研究では、異食における意味記憶の障害の関与を検討するため、左側側頭葉、右側側頭葉のどちらかに限局性の脳萎縮が生じている意味性認知症患者を対象にFood/non-food discrimination testを作成し、視覚性の意味記憶表象と異食行動との関係を明らかにすることを目的とする。Food/non-food discrimination testでは、物品を提示し食べられる物かどうかを尋ね、検査の毛化と異食の有無や他の神経心理検査を明らかにする。 今年度は、Food/non-food discrimination testに使用する品目の検討と選定を行い、対照群の患者であるアルツハイマー型認知症の患者1名に課題を実施した。また、研究被検者についてもリクルートを開始した。 Food/non-food discrimination testで使用する物品については、かりんとう、墨汁、ティッシュペーパー、いきなり団子(饅頭)、カステラ、乾燥剤、ジュース、柿の種、スライスチーズ、湿布、アメ、石鹸、ビー玉、醤油、シャンプー、瓶ビール、海苔、化粧水、スポンジ、乾電池を使用することとした。これらの物品について、食べられるかどうかを尋ねた。その際に「わからない」という回答は誤答とみなした。さらに、他のモダリティを活用した想起を防ぐため、触ることや香りを嗅ぐことは禁止した。今年度に作成したFood/non-food discrimination testをアルツハイマー型認知症患者に行ったところ、食物同定、非食物同定はともに満点で、積極的誤反応は見られなかった。今後は対照群の患者に対して行うとともに、意味性認知症患者に対して行い異食との関連を統計的に検討することとする。
|