認知症者は時に不適切な性行動(inappropriate sexual behavior:ISB)を呈し、介護者にとって最も負担の高い症候とされるが、認知症者のISBに関するメカニズムはあまり良く知られていない。本研究では、認知症外来を受診した連続442名を調査し、ISBのメカニズムを検討した。442名中16名(3.6%)がISBを示し、認知症の背景疾患の間で有症率に有意差はなかった。一方、ISBは男性、認知機能障害が軽い、妄想、興奮、多幸、抗パーキンソン病薬やコリンエステラーゼ阻害薬の使用と関連していた。本研究の結果は認知症者のISBに対する治療やケアを考えるうえで重要な示唆を含む。
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