研究課題
若手研究(B)
うつ病の治療法は薬物療法や精神療法が主ではあるが、物理的療法として電気けいれん療法、経頭蓋的磁気刺激療法、光療法がある。薬物療法や精神療法でよくならず先にあげた物理的治療法を選択する必要もある。うつ病患者が増え、その多様化も言われている現在、今後のうつ病における物理療法の可能性を広げるために近赤外線光による抗うつ効果、抗不安効果を確認し、うつ病に対する新しい治療法を検討することを目的とした。不安およびうつ病動物モデルラットラット(Wistar, 7weeks)を用いて、レーザー照射を行い抗不安・抗うつ作用が認められるかを確認した。ラットをコントロール群と照射群にわけ、照射群には2週間連続で一日5分間の近赤外線照射を行った。近赤外線照射はラットをゲージに固定して頭部に照射した。照射機器として高出力半導体レーザーユニット (Lambda Vision Inc. 波長 795nm 出力 50mW)を使用した。コントロール群には照射器から発せられる音のみを聞かせて照射以外の条件を同じにした。2週間の照射期間を経た後、それぞれのラットに高架十字迷路試験、明暗箱試験、恐怖条件付け試験を行い、コントロール群と照射群の間の抗不安効果の差を検討した。結果、照射における不安軽減はみられなかった。これまで「うつ病の動物モデル」に近赤外線光の連続照射を用いての近赤外線療法が急性効果あると確認した(Tanaka et al. , Blain Stimulation. 2010)。しかし、今回のパルス照射としての近赤外線光照射は、照射時間や期間、波長の差など、組み合わせをすべては試すことができていないため、抗うつ効果・抗不安効果を得られるパターンの有無、組み合わせを探し研究を継続する必要がある。
2: おおむね順調に進展している
満足できる結果はまだ得られていないものの、可能性のある波長、時間、期間における近赤外線光の照射をうつ病の動物モデルに対して行えている。
パルス照射をするにあたって、照射時間やそれを行う期間、そもそも近赤外線の波長の差など様々な組み合わせで繰り返し実験を行う必要がある。また、照射そのものの技術の問題点として、ラット頭部に照射する場合ラットを固定せざるを得ない。その時のストレスを緩和する課題もある。
すべて 2013
すべて 雑誌論文 (7件) (うち査読あり 7件) 学会発表 (12件)
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