研究課題/領域番号 |
25861023
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研究機関 | 横浜市立大学 |
研究代表者 |
浅見 剛 横浜市立大学, 附属病院, 講師 (70623057)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | パニック症 / 脳画像 / 自律神経機能 |
研究実績の概要 |
パニック症の脳構造、自律神経機能、内分泌機能などの変化を研究し、病態を解明することを目的とした研究を行っている。また、疫学調査により明らかになっているパニック症の性差の脳基盤を解明することも目的としている。パニック症では体性感覚情報が視床や島回、内側前頭前野・帯状回で充分に処理されないまま扁桃体に伝わり、結果、扁桃体が過活性に陥るが、その過活性に陥った扁桃体からの過度な情報が遠心性に脳幹や視床下部に伝わり、パニック症の諸症状が引き起こされると考えられている。我々はこれまでに1.5T-MRIで収集したデータを解析し、パニック症では、上述の脳領域の脳灰白質や、それらの脳領域を連絡する脳白質の容積に変化が認められる事を発見し、学会・論文発表してきた。H26年度から当院に導入された3T-MRIでもデータを収集している。また、同時に多機能心電図計を用いた自律神経機能や血液検査での内分泌機能の評価も進めている。現在までにパニック症16例、健常者13例のデータを習得している。これらのデータの解析もすすめており、パニック症では脳幹延髄の白質の構造に変化が認められる事や、先行研究では容積変化が認められないとされてきた海馬においても小区域に分けた解析では、パニック症においてCA2-3領域に容積減少が認められる事を見出し、第8回日本不安症学会で発表した。後者に関しては、若手優秀賞を受賞した。また、これまでの研究成果をセロトニン研究会で報告した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
1.5T-MRIに関しては、MRI装置のコイルが変わったため、これまでのデータと新規のデータを同様に解析処理することは出来なくなった。3T-MRIに関しては、セットアップに時間を要したが、昨年度は比較的順調にデータを収集することができ、解析結果を学会で発表することもできた。それ以前の遅れを挽回すべく、データの収集にまい進している。
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今後の研究の推進方策 |
電子カルテを用いて、外来・入院患者をチェックし、パニック症患者の受診状況を把握した結果、本年度は比較的順調にデータを収集することが可能であった。今後も同様の方法を用いて収集してゆく。また、研究者が2名増えたため、データを収集することのできる曜日も増え、私が火曜日・木曜日の担当、もう一人が月曜日と金曜日の担当、もう一人が水曜日の担当と割り振ることができた。データ収集効率は良くなると思われる。解析に関しては、パニック症において重要とされる、認知や情動にかかわる脳領域の解析方法は確立されており、得られたデータも順次解析されているため、今後も継続してゆく。
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次年度使用額が生じた理由 |
学会発表をすることのできるデータを得ることはできたが、年齢、性別などの基礎データが患者群と健常群で一致しておらず、より質のよい研究成果を得るためには更なるデータの蓄積が必要となった。
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次年度使用額の使用計画 |
月に2例の頻度でデータを蓄積してゆく。Windows10に対応する画像解析ソフトや統計解析ソフトの購入を行う。
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