本研究に参加した施設は全国6施設であり、そのうち3施設でNIRSを実施した。本研究に同意した全患者数は52名であった。そのうちJ-CORESを用いた認知機能リハビリテーションを行った介入群は27名、通常の診療を継続する対照群は25名であった。介入期間中に抗精神病薬の投与量が変更になった、他の心理社会的治療が新たに開始された等の理由で解析から除外し、最終的に統計学的処理をおこなった参加者は、介入群が22名、対照群は17名である。この被験者のうちNIRSを実施できたのは、介入群が10名、対照群は9名であった。 患者背景は、年齢は、介入群が39.1±6.73才、対照群は38.0±9.13才であった。罹病期間は介入群が13.6±6.21年、対照群は15.2±11.89年であった。抗精神病薬内服量(クロルプロマジン換算値)は介入群489.2±295.75mgが、対照群681.6±389.79mgであった。抗コリン薬内服量(ビペリデン換算値)は介入群0.70±1.45mgが、対照群は1.56±1.60mgであった。知的指数は介入群が106.8±9.49、対照群は98.9±12.90であった(p<0.05)。介入による変化量では、介入前評価において両群間で有意な差があった知的指数を共変量とし、群を独立変数、各評価項目の介入前後の変化量を従属変数とし、共分散分析をおこなった。精神症状に関しては、陰性症状尺度と総合精神病理尺度の介入前後の変化量が、認知機能に関しては言語性記憶と遂行機能、全般的認知機能の介入前後のZ score換算値の変化量が、介入群の方が対照群より介入前後で有意に改善していた。しかし、社会機能に関しては両群において介入前後では統計学的な有意差は認めなかった。またoxy-Hb濃度に関しても両群で介入前後では統計学的な有意差は認めなかった。
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