研究課題/領域番号 |
25861025
|
研究機関 | 奈良県立医科大学 |
研究代表者 |
太田 豊作 奈良県立医科大学, 医学部, 助教 (10553646)
|
研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
キーワード | 脳・神経 / 近赤外線スペクトロスコピィ / At risk mental state / 統合失調症 |
研究実績の概要 |
PRIME Screen-Revisedを含む問診にて精神病発症危機状態(at risk mental state:ARMS)と考えられた患児に対して、Structured Interview for Prodromal Syndrome/Scale of Prodromal Symptom(SIPS/SOPS)を用いてARMSの診断確認と症状評価を行い、本年度は2名のARMS患児について近赤外線スペクトロスコピィを用いてStroop課題遂行時の前頭葉の酸素化ヘモグロビン変化を測定した。また、5名の健常対照について近赤外線スペクトロスコピィを用いてStroop課題遂行時の前頭葉の酸素化ヘモグロビン変化を測定した。ARMS患児については、昨年度の3名と合わせ、合計5名となり、5名の健常対照と予備的に比較検討を行った。前頭領域全24チャンネルのうち下部を中心とした5チャンネルにおいて、健常対照群と比較してARMS群の酸素化ヘモグロビン変化が統計学的に有意に低値であった。ARMS群5名については、6カ月後、1年後と経時的に検査を行っており、今後は縦断的な検討も行いながら、同時に対象を増やし、統合失調症発症の予測因子について検討する。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
達成度の遅延の理由の一つとして、昨年度もARMS患児から研究参加の同意を得ることの困難性を指摘したが、その点については本年度も類似しており、ARMS患児から研究参加の同意を得ることに難渋した。また、思春期の患者を対象としているため、対象者が学生であることが多いが、学生が検査に来院しやすい夏季休暇期間中に近赤外線スペクトロスコピィのメンテナンスを行わなければならなかったことも本年度の研究の達成度がやや遅れてしまった理由の一つであると考えられる。
|
今後の研究の推進方策 |
近赤外線スペクトロスコピィという検査機器・技術の認知度が低いことが、研究参加の同意の得にくさに影響している可能性もあるため、近赤外線スペクトロスコピィ(光トポグラフィ)が一部の疾患・状態を対象に保険診療が行われるようになったことなどを説明し、同意への抵抗感を緩和しようと考えている。 現在、研究対象であるARMS群は5例であるものの、同数の健常対照との予備的検討で有意義な結果が得られたと考えている。このことを丁寧に説明することで、研究参加の同意への抵抗感が緩和し、対象者の増加に繋がると考えている。
|