統合失調症の発症予防の視点に立った精神病発症危機状態(at risk mental state:ARMS)の研究において前頭葉機能が注目されている。今回,近赤外線スペクトロスコピィを用いてARMSの前頭葉機能を評価した。ARMS群は平均16.5±2.92歳の未治療の10例で,健常対照群は年齢,性別,知能指数を一致させた10例であった。両群のStroop課題遂行時の前頭前皮質の酸素化ヘモグロビン変化を比較検討した結果,健常対照群と比較してARMS群の酸素化ヘモグロビン変化が統計学的に有意に低値であった。ARMSの前頭前皮質の血液動態反応は低下しており,前頭葉機能低下が認められることが示唆された。
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