本研究では、不安障害、特に社交性不安障害の根底に存在する生物学的な神経基盤を明らかにすることを目的として、行動薬理学的ならびに電気生理学的な解析を試みた。社会的敗北ストレスを負荷することにより、社交性不安障害モデル動物の作製に成功した。このモデル動物が示す社会性不安に関連した行動異常は、選択的セロトニン再取り込み阻害薬fluoxetineの慢性投与により改善された。さらに電気生理学的解析により、内側前頭前野(mPFC)における5-HT1A受容体の機能低下が認められた。すなわち、社交性不安障害が発症する機序には、mPFCの5-HT1A受容体の機能異常の関与が考えられた。
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