現時点までに計54名(15組のASD兄弟ペアと12組の健常兄弟ペア)を登録した。ASDとその非罹患同胞の2群間での脳灰白質体積の検討では、両群で有意な差はみとめなかった。これは過去の報告と矛盾しない結果であった。さらに検定水準を下げた解析からは、非罹患同胞と比較してASD群では扁桃体や被殻の体積が減少し、中前頭回では増加していた。これらは過去のメタ解析より体積異常を指摘されている脳領域と一致していた。以上より、非罹患同胞は、臨床的にはASDと診断はされないが、ASDの病態に関連する脳領域において軽度の脳構造異常を有しており、この共通所見こそがASDの生物学的な所見である可能性が示唆された。
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