親子関係は極めて相互依存的である。例えば、四足哺乳類の多くの親が仔をくわえて運ぶ時、仔はコンパクトな姿勢でおとなしくなる「輸送反応(TR)」を示し、親の仔運びに協力する。TRはヒト乳児にもみられ、幼若哺乳類に広く起こる鎮静化反応であると考えられる。仔マウスでの予備実験より、TR中は痛覚閾値が増大することが示唆された。本研究により、痛覚閾値の上昇は、全身性に起こること、オピオイドシグナルによらないことが明らかとなった。興味深いことに、吸乳時も子の痛覚閾値はオピオイド非依存的に上昇する。親と一緒にいるという愛着形成を促す様々な状況下で起こる鎮痛には、子特有の共通した神経機構の存在が示唆される。
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