研究課題
若手研究(B)
平成25年度は、本実験として位置づけられるPETを用いた撮像研究に進む前の準備として、研究で用いる心理課題の選定と作成を行う予定としていた。当初の予定通り、平成25年度は、(1)心理課題の選定、(2)心理実験遂行ソフトウェアを用いた課題のプログラミング、(3)心理尺度の選定を行った。(1) 心理課題の選定:本研究の心理課題としては、Intentional binding task(随意運動に対する自己帰属感の間接評価法)、Agency task(自己帰属感を定量評価するための課題)、Rubber hand illusion task(自己所属感(sense of ownership)に関するための心理課題)、Libet timing judgment task(運動意図のタイミングを計測するための心理課題)、Mind perception task(自他帰属感の個人差を評価するための心理課題)を選択した。これらの課題の選択にあたっては、米国で開催された第17回国際意識科学会総会、第30回国際臨床神経生理学会にてポスター発表、情報収集、研究相談などを行い、各国の研究動向をみながら、最適な心理課題を選択するように努めた。(2) 心理実験遂行ソフトウェアを用いた課題のプログラミング:(1)で選択した、各心理課題に用いる各種の刺激を、PhotoshopおよびIllustrator(ともにAdobe社、米国)を用いて作成した。作成した刺激をもとに、Superlab (Cedrus社、米国)およびEprime 2(PST社、米国)を用いて課題のプログラミングを行い、心理課題の遂行が可能な状態とした。(3) 心理尺度の選定:心理尺度としては、自己帰属感評価尺度(IPSAQ)、性格検査(NEO)、Beckうつ病評価尺度(BDI)などを採用した。
2: おおむね順調に進展している
当初から、心理課題を複数の候補に絞り込んでいたこと、申請者自身が過去に行った研究で使用した心理課題の改良版も含まれることなどから、心理課題の選定は滞りなく進んだ。また、その後のSupelabやEprime2を用いた心理課題のプログラミングも、多大な時間を要したものの、研究者に一定の経験とスキルがあったことから大きな支障なく進めることができた。他研究機関との討論、研究協力に関する話し合いも順調に進めることができた。
平成26年度は、(1)健常ボランティアのリクルート、健常ボランティアを対象とした心理実験およびPETおよびfMRI撮像の開始を予定している。PETに用いる放射性薬剤としては、[11-C]Racloprideと[11-C]SCH23390を用いる予定である。これらの薬剤の合成、撮像のプロトコルなどについて、平成26年度前半に決定する予定である。また、PET画像解析技術の習得のために、平成26年5月にオランダで開催されるNeuroreceptor Mapping 2014のPET Pharmacokinetics courseに参加し、PET画像解析の理論、解析手法などを習得する予定である。さらに、PETを用いた研究には多くの専門職の協力が必要であり、放射線技師、PET薬剤合成施設職員、心理実験のテスター、被験者のリクルートを行う協力員からなる研究実施体制を所内で構築した上で、研究を行っていく予定である。
平成25年度分の予算として、画像解析ソフトウェアの購入を予定していたものの、同年度は心理課題の選定および作成に専念したため、ソフトウェアを購入せず、購入分の予算を次年度に繰り越すこととした。平成25年度の予算のうち、使用しなかった分は、平成26年度に画像解析ソフトウェアの購入に使用する予定である。
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