研究課題/領域番号 |
25861042
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 独立行政法人国立成育医療研究センター |
研究代表者 |
立花 良之 独立行政法人国立成育医療研究センター, その他部局等, その他 (50589512)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 児童虐待予防 / 乳幼児 / 母子相互作用 / 自閉症スペクトラム |
研究概要 |
国立成育医療研究センターこころの診療部育児心理科に通院中の患者で、育児困難の訴えがあり、精神科医によるDiagnostic Statistical Manual –5(DSM-5)に基づく診断で自閉症スペクトラムと考えられた乳幼児の母親5名を対象とした。乳幼児の年齢は0歳~1歳(平均 月齢6.8か月)であった。心理的支援のセッションは1回あたり50分で、計6回とした。最初のセッションでBarnardらが開発した、子どもの出すCueのパターンを分かりやすくまとめたカードや、子どもの出すサインに対する親の感受性を高めるビデオ教材を用いて、子どもへの接し方の心理教育を行った。2回目以後のセッションでは、心理教育後に、プレイルームにて実際に母子で遊んでもらい、その様子をビデオで録画した。そのビデオをもとに、親に対して、敏感な情緒応答を意識し母子相互作用を促すようなかかわりについて、フィードバックを行った。実施前後の効果をNursing Child Assessment Teaching Scale (NCATS) 日本語版、および育児ストレスインデックス日本語版で評価した。これらの評価は、2回目と6回目のセッション後に行った。いずれの場合も介入後に育児ストレスの減少がみられ、NCATSの点数の改善を認めた。本研究により、自閉症スペクトラムの母親に対しての視覚的養育支援の有効性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
児童虐待のハイリスクである、自閉症傾向を持つ母親の特性に合わせた、視覚優位性を生かした育児支援プログラムを開発した。プログラムの内容は、敏感な情緒応答性を向上させ、育児ストレスを軽減することを目的とした。作成したプログラムを用いて、自閉症スペクトラムと診断された母親5名に対してパイロットスタディを行い、プログラムが、母親の敏感な情緒応答性を向上させ、育児ストレスを軽減することが示唆された。
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度の研究は、症例数が少なく、児の年齢や母親の自閉症傾向の重篤さの要因が検討できなかったこと、効果測定の時期や方法の統一性や妥当性が欠けていたこと、健常の母親との比較や、視覚的支援以外の介入との比較がないこと、他の効果要因が統制できなかったことが限界としてあげられる。それらを踏まえ、十分な効果を上げるための支援内容と頻度について検証したうえで、無作為化比較対照試験を平成26年度に実施する。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成25年度は5症例のパイロットスタディを実施たため、研究費自体は少額で済んだため。 平成25年度の未使用額については、平成26年度に実施する無作為化比較対照試験の経費に回す計画である。
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