研究課題
若手研究(B)
双極性障害の大多数の最初のエピソードでもあるうつ状態に対する不適切な介入は、患者の正常な社会認知を妨げ、社会生活を脅かす。その客観的評価は困難であることが多く、早期の治療介入や予後にすら多大な影響を及ぼす。本研究の目的は、気分障害を対象とし、i)高解像度1.5TMRIによる機能的MRIと全頭型脳磁図(MEG)組み合わせて用いることで、聴性定常反応(ASSR)におけるγ帯域同期活動を、より多角的に明らかにすること、ii)高γ帯域活動、およびγ帯域活動への薬物の影響を調べることにある。具体的には、健常者とうつ病性障害及び双極性障害を対象に、聴覚刺激を与えた際の神経活動とその反応部位の違いを検索している。さらに、脳の電気活動を計測する手段として、安価に測定が可能な64ch EEGを用いることに成功した。既に、健常者(機能的MRI 21名、EEG 27名)と気分障害患者(機能的MRI 1名、EEG 2名、MEG 8名)の集積を行っている。MEGの撮影費用が大幅に上昇しているものの、平成26年度以降はさらに対象者を増やす必要があり、より多角的な解析を詳細に行うことで、気分障害の主症状であるうつ状態の神経学的基盤の解明と双極性障害・うつ病性障害の脳機能を指標とした鑑別につながることが期待できる。さらに、本研究では、比較的日本で導入しやすい1.5TMRIによる機能的MRIを比較検討することで、今後の有用性も検討できる。これらの結果をもとに、最終的には病状の客観的評価、診断、治療や治療評価への応用を目標とする。
3: やや遅れている
機械の導入やセッティングに予想以上に時間がかかってしまい、また、MEG撮影費用の上昇などを受け、限られた予算の中で研究を行ったため
機械の導入やセッティングに予想以上に時間がかかってしまい、データの集積がやや遅れたが、限られた予算と時間の中でも、徐々には進行させることができたため、大幅な遅れはない。脳の電気活動を計測する手段として、安価に測定が可能な64ch EEGを用いることに成功したため、次年度以降、気分障害患者を中心に機能的MRIとMEGに加え、EEGのデータ集積も行う。MEGの撮影費用が大幅に上昇しており、今後も研究費の獲得に勤める必要もある。
ほぼ予定通りに経費を使用することができたが、平成25年度は当初購入予定の文具を購入する必要がなくなったため。文具を購入予定である。
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