研究課題
申請者の先の研究において明らかとなった間欠的低酸素暴露によるがん細胞の放射線抵抗性獲得の結果、治療後に生残した間欠的低酸素馴化細胞がどのような挙動をとるのかを明らかにするため、本課題では「間欠的低酸素が血管近傍のがん細胞の形質を変化させ、放射線治療後も生き延び、その後の再発、転移の一因になっている」と仮説を立てた。細胞の転移能を評価する指標であるmigration assayおよびinvasion assayによって、X線照射したA549細胞およびMDA-MB-231細胞の培養培地が、他の細胞の移動能、浸潤能を上昇させることを明らかにした。さらにそのメカニズムとして、X線を照射したがん細胞において、ある液性因子AのmRNA量が上昇することや、培養培地中でのAの濃度が上昇することを明らかにした。さらに、A549細胞を間欠的低酸素に曝露することによりある転写調節因子の発現上昇が観察され、この事が放射線抵抗性の獲得に繋がっていることを明らかにした。現在は、この遺伝子発現抑制や特異的阻害剤の放射線感受性や転移能に対する影響を検討している。以上の実験により、放射線照射後の細胞転移能の変化を明らかにする上で重要なin vitroでの実験条件が整備され、間欠的低酸素応答も含めそのメカニズムに重要な役割を果たす実行因子の有力な候補が同定された。
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すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件、 オープンアクセス 1件、 謝辞記載あり 3件) 学会発表 (10件) 備考 (2件)
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