研究概要 |
1)肺超短縮エコー時間MRI(UTE-MRI)法の撮像パラメータを決める。 健常者12人に対してエコー時間(TE: 0.2, 0.5, 0.8, 1.4, 2.0, 2.6, 3.2ミリ秒)を変えて肺MRIを撮像した。エコー時間は短いものだけでは肺T2*値の変動が大きくなり、 TE 2.6と3.2ミリ秒を含めると肺T2*値は有意に延長した(P<0.05)。肺T2*値は1.5ミリ秒程度であるため、4種類のエコー時間(TE: 0.2, 0.8, 1.4, 2.0ミリ秒)を用いるのが妥当と考えられた。 2)肺 UTE-MRI で得られる肺実質信号およびT2*値が酸素吸入負荷前後で変化するかを調べる。 健常者21人に対して4種類のエコー時間(TE: 0.2, 0.8, 1.4, 2.0ミリ秒)を使用し、肺MRI画像を撮像した。その後、マスクで酸素12リットル/分吸入させてから、再び肺画像を撮像した。TE 0.2, 0.8ミリ秒の時に酸素吸入負荷後でいずれも肺信号の有意な上昇が見られた(1.16倍、1.05倍、P<0.05)。TE 1.4, 2.0ミリ秒時には肺信号の有意な変化はなかった。肺T2*値は安静時1.69ミリ秒、酸素吸入負荷後は1.49ミリ秒と有意に減少した(P<0.05)。酸素吸入負荷後に有害事象は起こらなかった。次に酸素吸入負荷前後で最も信号変化の強かったTE 0.2ミリ秒において評価した。片肺を3カ所に分類し(腹側、中央、背側)、局所の肺信号増強率を比較した。それぞれの酸素吸入増強効果は腹側(1.40倍)、中央(1.36倍)、背側(1.26倍)で、腹側の方が酸素吸入後に有意に増強された(P<0.05)。この結果は仰臥位での換気分布を反映していると推測された。 肺UTE-MRIは安全に施行でき、肺実質信号を有意なものとして取得し、さらに換気画像の可能性を示すことができた。
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