研究課題
本研究課題は、がんラジオアイソトープ内用療法施行患者における治療予後予測因子及び予備能力を把握するバイオマーカーを見出すための研究である。平成26年度までの2年間で、患者25名より継時的に計70サンプル以上を回収した。平成27年度は、これら回収サンプルを詳細に解析することを主とした。一つ目の解析として、酸化ストレスマーカーの変動から予測可能かを末梢血血清及び尿サンプルから検討した。血清において、抗酸化能評価(BAP)、酸化度評価及び核酸損傷残渣評価(8-OHdG)を実施したところ、放射性ヨウ素内服前後及びステージ分類、TNM分類との相関はみられなかった。一方、尿中8-OHdG解析において、放射性ヨウ素内用前30日目から内用直前で有意に低下し、更に内用後30日目に有意に上昇した。この変動はTNM分類特異的な変動を示した。更に、それら変動率が大きいほど患者の治療効果は良好な傾向にあった。二つ目の解析として、尿中成分及び血清成分の網羅的な分子変動解析を実施した。この結果は平成28年度に引き続き延長して解析を進める予定である。以上の平成27年度の結果から、放射性ヨウ素内用療法を施行した分化型甲状腺患者において、尿中8-OHdGの動態を観察することによって、その特異な変動から患者のTNM分類を推測することができるかもしれない。この尿中8-OHdG分子が他の代謝分子と関連性があるかどうかについて、更に解析を進める予定である。
2: おおむね順調に進展している
平成27年度に得られた成果は国際専門誌へ論文投稿することができず、期間延長したが、当初計画していた解析は概ね順調である。尿中酸化ストレスがマーカーとなる可能性が見いだされたことから、新たな発展が見込まれている。
患者より採取された血清及び尿は、最良の環境下で保存しており、今後はこれら保存サンプルを用いて、網羅的なバイオマーカー探索を1年間延長して進める予定である。
平成27年度末より、研究課題に関する追加実験及び論文投稿を複数実施している。論文投稿においてはその査読の結果待ちとなっているため、論文掲載料が未だ発生していない。また、追加実験においては試薬消耗品が必要である。以上の理由から、平成27年度中に予定の全額を執行できず次年度に使用額が発生した。
平成28年度中に論文投稿・情報発信及び追加実験等が完了するとの推測のもと、次年度使用額はそれらに全てあてる。
すべて 2016 2015 その他
すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (10件) (うち国際共著 1件、 査読あり 9件、 オープンアクセス 10件、 謝辞記載あり 3件) 学会発表 (20件) (うち国際学会 8件) 備考 (1件)
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