研究実績の概要 |
本研究課題は、がんラジオアイソトープ(RI)内用療法施行患者における治療予後予測因子及び予備能力を把握するバイオマーカーを末梢血成分または尿成分より見出すための研究である。平成26年度までに分化型甲状腺がんにおけるRI内用療法を施行する患者(100mCiまたは150 mCiのヨードカプセルの経口服用)のうち同意の得られた25名より、内用1か月前から各月1回と継時的に(のべ70サンプル以上の)末梢血液及び尿を回収した。また、体内におけるRIの動態を把握するため、患者の表面線量率の情報を取得した。うち3名は複数回投与の患者であった。平成27年度から平成28年度は、これら回収サンプルを詳細に解析すること、およびまとめられた情報から学会発表又は国際論文への投稿を中心に実施した。 平成28年度は具体的に、血清及び尿中酸化ストレス(8-OHdG, BAP, dROMs)の解析を進めた結果、内用療法施行前後で大きなな変動が生じることをほとんどの検体で確認した。また、末梢血中の白血球細胞及び循環組織細胞のダメージの指標となるcytokinesis brocked micronucleus assayによって微小核発現細胞の割合の解析を進めた結果、RI内用療法後1か月以内に微小核細胞発現率は最大値となり、更に単回施行する場合に比べ複数回施行する場合の微小核発現頻度は異なる応答を示した。これら得られた情報は、専門学会へ報告した。
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