研究課題
本研究の目的は、現在開発中であるリニアック及びマルチリーフコリメーターを用いた動態追尾照射において、侵襲的な金マーカーを留置することなく動態追尾を達成するための基礎的データ収集を行うことである。まず、臨床上マーカー留置が必要と判断された体幹部定位放射線治療症例について、患者の同意を得たうえで経気管支鏡下に金マーカーを留置し、バイプレーン型血管造影用X線透視装置を用いて体表マーカー・肺内金マーカーその他の動きを0分・10分・20分時点で撮影した。体外マーカーの移動は非常に小さく、体外マーカーのみで予測を行うことは困難であった。体外マーカー・横隔膜・胸郭の移動はいずれも肺内金マーカーの移動より遅れており移動開始のトリガーとして用いることはできないが、組み合わせることで呼吸位相の把握がより正確になるものと考えられた。0分・10分・20分各時相での比較では体表マーカーを中心に照射中移動(intrafractional motion)を認めた。全体的には筋緊張緩和による沈み込みが中心で、また両上肢挙上の左右差による体幹部回旋も一部で見られた。次にDRRと透視画像の比較を行った。概ね近い画像が得られたが、秒間のフレーム数に開きがあり、また解像度の違いもあることより完全に同一な画像とはならなかった。さらに動態ファントム実験に移行する予定であったが、ワシントン型4Dファントムの時間軸動作に問題が生じており、研究期間内に実験結果を出すことはできなかった。しかし時間軸以外の動作に問題がないことは確認されたため、今後は既症例の臨床データを用いて動態ファントム実験を継続する予定である。
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Journal of radiation research
巻: 57 ページ: 381-386
10.1093/jrr/rrv100
Journal of Radiation Research
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