研究課題/領域番号 |
25861071
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 群馬大学 |
研究代表者 |
村田 和俊 群馬大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (60644557)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | ヒト肺線癌細胞 / 炭素線照射 / 遊走能 / Rho / ROCK |
研究概要 |
遊走能の放射線照射による影響とROCKとの関連について、その特異的阻害薬であるY27632を併用し、インビトロ環境にて探索した。最初に炭素線照射による細胞増殖能への影響を確認するため、WST-1アッセイを行った。この実験ではA549が炭素線照射後から72時間以降において、非照射群に比較して有意に増殖能が低下した。そのため、増殖能による影響を最小にするため、遊走能に関する実験は炭素線照射から48時間以内の現象について検討した。次に炭素線照射による遊走距離の変化を観察するためにwound-healing-assayを行った。炭素線(2Gyまたは8Gy)を照射した細胞群では、非照射の細胞群と比較して、照射後48時間の遊走距離が有意に長く、さらに高線量を照射した細胞群では遊走距離が長くなっており、炭素線が遊走能を増強することが示唆された。また、細胞骨格への影響を観察するため、Fアクチン染色を施行すると、炭素線非照射群と比較して炭素線(2Gyまたは8Gy)を照射した細胞群では細胞遊走時に見られる細胞骨格変化の一つである突起形成の出現率が有意に高く、この結果から細胞形態学的にも炭素線照射が遊走能を亢進させることが示唆された。 上記内容をJournal of Radiation Researchに論文発表し採択された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
インビトロ環境による研究内容を"Increase in cell motility by carbon ion irradiation via the Rho signaling pathway and its inhibition by the ROCK inhibitor Y-27632 in lung adenocarcinoma A549 cells "として論文発表し採択された。
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今後の研究の推進方策 |
1)インビトロ環境の結果も踏まえてインビボ環境での研究準備を開始する。 X線照射では、すでにC3Hマウスに免疫原性が少なく自然転移を発生する肉腫(SANH)を用いた実験等でX線照射後の腫瘍が転移を誘発させる可能性を示している。今回も同様の系を使用し、照射をせずに腫瘍を切除する群、炭素線照射後に腫瘍を切除する群、腫瘍を移植する部分へ炭素線を照射した群のそれぞれに分けて実験を行う。 2)遊走能亢進現象におけるRhoAーROCKーpMLCのシグナル伝達以外の系の探索 前年度の結果も踏まえ、RhoA以外のRac1やcdc42などの関与についても検討していく。
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