研究課題
重粒子線(炭素線)治療は制御が困難であった悪性腫瘍に対し、治療成績の向上が期待される治療法と考えられる。しかし、進行癌においては、炭素線治療のみでは進行癌の根治は難しいことが予想される。そこで我々は、癌の全身制御という見地から化学療法併用炭素線治療を考えた。癌細胞において発現増加が認められているHsp90に着目し、その阻害剤であるHsp90阻害剤を局所効果良好な炭素線に併用することとした。当該申請者はこれまでに、頭頸部扁平上皮癌細胞において、Hsp90阻害剤(17-AAG)とX線の併用により抗腫瘍効果が増大するが、炭素線は併用効果が見られず、炭素線は単独でも十分な抗腫瘍効果を示すこと、併用時の上乗せ効果の違いはX線・炭素線照射後のDNA修復機構の違いが理由の一つであることを見出した。当該申請者はこれまでの研究成果を発展させて、局所効果のみならず、癌細胞の転移能や遊走能の制御変化について調べ、放射線(X線と炭素線)とHsp90の関与について明らかにすることで、全身制御を狙った放射線増感剤の開発に有効となる成果が期待できると考え、本研究の着想に至った。頭頸部扁平上皮癌細胞はX線及び炭素線照射群で線量依存性に遊走する細胞の割合が減少傾向にあり、照射によった低下傾向が見られた。また、17-AAGを併用することにより、X線及び炭素線照射群共に更なる低下傾向が見られた。高線量となるに従い併用の有無による差が減少している傾向にあり、低線量域にて詳細な検討を施行中である。
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