重粒子線治療は制御困難であった種類の悪性腫瘍に対し、期待される治療法だが、進行癌の場合、根治は難しい。そこで我々は、癌の全身制御という見地から化学療法(Hsp90阻害剤)併用炭素線治療を考えた。これまで、Hsp90阻害剤とX線の併用により抗腫瘍効果が増大するが、重粒子線は単独でも十分な抗腫瘍効果を示す為に併用効果が見られず、併用時の上乗せ効果の違いは異なる修復機構が理由の一つであることを見出した。さらに、X線・重粒子線照射群で線量依存性の浸潤低下傾向が見られ、Hsp90阻害剤は単独でも浸潤低下傾向が見られた。高線量では併用の有無による差が減少傾向にあり、低線量域にて詳細な検討を施行中である。
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