研究課題/領域番号 |
25861074
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
雨宮 史織 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (90631135)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | fMRI / 灌流画像 / 脳脊髄液 |
研究実績の概要 |
これまでの研究で、低灌流/慢性虚血下では、神経活動/酸素代謝が正常であっても、血行動態異常を反映してこの重度に応じたBOLD反応遅延・延長が起こることを示している(Amemiya et al. Neuroimage 2013)。今回、安静時fMRIにおいて、心拍・呼吸に付随する生理的ノイズ成分と考えられている全脳平均信号変動を基準とした各ボクセルの位相差を算出することから信号遅延時間評価を試みた。低灌流(慢性虚血及び急性期梗塞)患者群において、Gd造影灌流画像における相対的ピーク時間遅延域と定義し、異常灌流域を自動抽出した。これと、上述のfMRI全脳遅延時間マッピングによる信号遅延域との間に高い空間的相似性、有意な量的相関があり、灌流異常域の同定と重症度評価が非侵襲的に可能なことを示した。また信号遅延が急性期梗塞域に見られることから、計測対象が非神経活動由来である事を示した。結果は学会(核磁気共鳴学会2013、大会長賞)および論文(Amemiya et al. Radiology 2014)にて発表した。平行して脳脊髄液減少症患者における、自発的神経活動および認知機能異常の変化を髄液漏出の治療前後にて、working memory課題および安静時fMRIによるlocalおよびnetwork levelでの神経活動計測を行い縦断的に評価した。術前の認知機能低下とtask-positive network nodesにおけるALFF(amplitude of low frequency fluctuations)の相関は術後、認知機能の回復にともなって減弱、正常化しており、脳脊髄液減少下における機械的圧排/浮力低下に伴う前頭葉底部での異常神経放電が、可逆性認知機能障害を起こしている可能性が考えられた。結果は学会(核磁気共鳴学会2014)にて発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計画に沿って研究データ取得、解析を施行し、結果を基にして得られた研究成果を国内学会にて発表した(日本磁気共鳴医学会大会)。今後未発表の内容につき、国際学会および投稿中の論文にて発表を行う予定である。
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今後の研究の推進方策 |
国際学会および投稿中の論文にて研究成果の発表を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
論文の受理、発刊が遅延しているため、成果発表のために参加できる国際学会の日程が遅延したため
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次年度使用額の使用計画 |
論文掲載費用、学会参加に関わる経費
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