研究実績の概要 |
これまでの研究で、低灌流/慢性虚血下では、神経活動/酸素代謝が正常であっても、血行動態異常を反映してこの重度に応じたBOLD反応遅延・延長が起こることを示している(Amemiya et al. Neuroimage 2013)。本研究では安静時fMRIにおいて、全脳平均信号変動を基準とした各ボクセル信号の遅延時間をマップすることにより、全脳灌流時間の計測が出来ることを示した。また信号遅延が急性期梗塞域に見られることから、計測対象が非神経活動由来である事を示した (JSMRM 2013、大会長賞、Amemiya et al. Radiology 2014)。一方で健常者においては、全脳性のfMRI信号の伝播が血液灌流の時差とは別に存在すること、この伝播性信号がtask-positive networkとdefault-mode-networkの相互作用の基盤となる神経活動を見ている可能性があることを報告した(JSMRM 2015, Amemiya et al. Neuroimage 2016)。平行して脳脊髄液減少症患者における、自発的神経活動および認知機能異常の変化を髄液漏出の治療前後にて、working memory課題および安静時fMRIによるlocal/ network levelでの神経活動計測を行い縦断的に評価した。術前の認知機能低下とtask-positive network nodesにおけるALFF(amplitude of low frequency fluctuations)の相関は術後、認知機能の回復にともなって減弱、正常化しており、脳脊髄液減少下における機械的圧排/浮力低下に伴う前頭葉底部での異常神経放電が、可逆性認知機能障害を起こしている可能性が考えられた (JSMRM 2014, Amemiya et al. Cephalalgia 2016)。
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