研究課題
本研究は,磁気共鳴画像(MRI)診断装置を用いて独自に開発した新たな揺動イメージング法により,脳局所における弾性,血流動態および細胞構造情報を画像化し,新たな診断情報として利用する手法を確立することを目的とした.本年度は前年度に開発した頭蓋内模擬環境(頭蓋内動態ファントム)を使用して揺動MRIの撮像条件の最適化を行った.さらに,本手法を特発性正常圧水頭症患者に適用し,その臨床的有用性について検討した.その結果,特発性正常圧水頭症例における脳の水分子揺動量は年齢の一致した健常ボランティアおよび画像診断上鑑別が困難な脳萎縮例と比較して有意に大きくなることが判明した.次年度は症例数をさらに増やすとともに,シャント手術前後において本評価法を適用し,シャント手術後の脳の物性の変化について検討を行う予定である.
2: おおむね順調に進展している
揺動MRIの撮像条件を最適化し,特発性正常圧水頭症例における初期検討において本手法の臨床的有用性が示唆されており,概ね予定通り進展したと考える.
今後は特発性正常圧水頭症患者の症例数を増やすとともに,本手法を用いてシャント手術前後における脳の物性の変化について検討する予定である.得られた研究成果を社会に向けて広く発信するために,国際会議を中心とした学会発表,欧文誌への論文投稿およびホームページ上での成果報告を行うつもりである.
初年度に数値シミュレーションおよび解析プログラムの作成に必要なソフトウェアを購入予定であったが,既存のソフトウェアで代用したために使用額に差が生じた.
本研究で使用するファントム実験に必要な備品,消耗品を購入するとともに,研究成果を公表するための学会発表,論文発表の費用に充てる.
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すべて 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 6件) 学会発表 (10件) 備考 (1件)
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