研究概要 |
婦人科腫瘍におけるエストロゲンおよびエストロゲン受容体(ER)の体内動態を解析するため、ERイメージングPET薬剤である16α-[18F]fluoro-17β-estradiol(FES)を急速静注し50分間の骨盤部ダイナミックPET撮像を行った。初年度は、巨大子宮筋腫症例に対し連続動脈採血の代わりに腹部大動脈に関心領域を設定し入力関数を得た。1症例ごとに子宮筋腫 / 臀部の皮下脂肪 / 骨格筋にそれぞれ関心領域を設定し得られた時間放射能曲線に2-tissueコンパートメントモデルを当てはめ各速度定数(K1, k2, k3, k4)およびK1/k2, k3/k4, 分布容積VTを求めそれぞれを静態画像から得られるSUV値と比較した。 筋腫の集積は高く(SUV 3~5)、50分後でもまだ上昇していた。次いで皮下脂肪(~2.5) > 骨格筋 (~1.0)の順であった。各パラメータのうちSUVと有意な相関がみられたのはK1 (r=0.67, p<0.05), VT (r=0.68, p<0.05), そして最も相関が強かったのがk3/k4 = binding potential (BPND) (r=0.73, p<0.02)であった。このように婦人科FES PETで通常用いられるSUV値はbinding potentialと相関しエストロゲン受容体の結合能を評価するのに適していると思われた。
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