研究実績の概要 |
【目的】我々は3テスラMRIを用いて子宮筋腫の3D画像を作成し,手術計画における3D画像の有用性を検討した。 【対象と方法】子宮筋腫を有する10名の患者に3テスラMRIを用いて3D-T2強調TSE矢状断像(Volume ISotropic TSE Acquisition:VISTA)を撮像した(1,800/205msec [TR/TE], 512×512 matrix, slice thickness/gap:2/0mm)。撮像された2D画像(矢状断像)から,用手的に子宮全体,子宮筋腫,子宮内膜を輪郭抽出し,子宮筋層,子宮筋腫,子宮内膜を異なる色で表示した3D画像(surface rendering)を作成した。2名の産婦人科医(婦人科診療経験年数が12年と2年)が2D画像・3D画像を別々に見て,手術法・摘出筋腫数を評価し,手術計画に要した時間を記録した。別の産婦人科医(婦人科診療経験年数が29年)が全ての画像を見て決定した手術法・摘出筋腫数をゴールドスタンダードとし,3D画像による術前計画の正確性・迅速性を2D画像と比較した。 【結果】手術計画に要した時間[観察者1:19.7±9.5 vs 10.4±5.1秒 (p < 0.05),観察者2:47.5±12.3 vs 12.3±4.0秒 (p < 0.01)(2D vs 3D)]は,2D画像に比べて3D画像で有意に短縮した。術式の正解率[観察者1:50% vs 70%,観察者2:70% vs 70%(2D vs 3D)],摘出個数の正解率[観察者1:70% vs 80%,観察者2:70% vs 80%(2D vs 3D)]は,いずれも2D画像に比べて3D画像で軽度上昇した。 【結論】3D画像は手術計画の正確性を下げることなく,術前評価に要する時間を短縮できた。3D画像は産婦人科医の負担軽減に寄与することができる。
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