研究課題/領域番号 |
25861090
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
楢林 正流 京都大学, 原子炉実験所, 助教 (60611572)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 放射線治療 / 硼素中性子捕捉療法 |
研究実績の概要 |
ポリマーゲル線量計については、BNCT用加速器中性子照射システムの線量検証への使用を考えているところであるが、その最適なサイズや作成法、ホウ素化合物の混入方法などについて検討中である。現在までの経験のある原子炉も活用して過去データ等との比較や、他の線量計の結果等とも合わせて比較検討を行うことも考慮している。また治療計画装置で単純条件、すなわち1門の前方入射ビームで照射野サイズや入射角度の変化も含めて種々の治療計画を作成し、絶対線量ならびに線量分布について検証・比較を行う。続いて脳腫瘍や頭頚部腫瘍、悪性中皮腫などの種々の疾患に対し、実際の臨床プラン(1門~複数門)を作成し、そのプランを種々の線量計に実際に照射することにより、線量計算並びに線量分布について検証を行うことを検討している。なお評価方法などについては日本医学物理学会タスクグループ01報告やアメリカ医学物理学会AAPM Task Group No.53 Reportなども参考にする。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
X線を用いた通常の放射線治療と異なり、硼素中性子捕捉療法の加速器中性子照射システムでは最適な線量測定方法が知られておらず、従来の方法論が必ずしも適切とは限らない。現在までの長い経験のある原子炉も活用してそのデータとの比較等も検討しているところであるが、原子炉の稼動停止が長引き、再稼働に想定以上の時間を要していることもあり当初予定よりも遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
現在までの長い経験のある原子炉も活用して、そのデータ等との比較や、他の線量計の結果等とも合わせて比較検討を行うことも現在考慮している。また治療計画装置で単純条件、すなわち1門の前方入射ビームで照射野サイズや入射角度の変化も含めて種々の治療計画を作成し、絶対線量ならびに線量分布について検証・比較を行う。続いて続いて脳腫瘍や頭頚部腫瘍、悪性中皮腫などの種々の疾患に対し、実際の臨床プラン(1門~複数門)を作成し、そのプランを種々の線量計に実際に照射することにより、線量計算並びに線量分布について検証を行うことを検討中であり、ポリマーゲル線量計では、今までの原子炉でのBNCTでは知り得なかった実際に付与された物理線量を知ることが可能になると期待される。その際に予想される、治療計画装置の計算精度やカウチ回転精度などを含めた総合的な不確定度が線量検証に与える影響も把握したいと考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成27年度に、京都大学原子炉実験所の重水中性子照射施設を使用して、ポリマーゲルへの中性子の照射実験し、日本中性子捕捉療法学会等にて発表を行う予定であった。 しかし、研究用原子炉(KUR)が原子力規制委員会により制定された新規制基準への適合審査の為、平成26年5月から稼働停止し、平成26年度中の再稼働を目指していたが審査に想定以上の時間を要しているので長期にわたり施設を使用出来ず、実験を行うことができなかった。現在、原子炉実験所の教職員が平成28年度中の再稼働を目指して対応に当たっている。
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次年度使用額の使用計画 |
研究用原子炉(KUR)の再稼働を待ちたいが、もし平成28年度中にKURが稼働しなかった場合は、ポリマーゲル線量計の準備や作成法の最適化等について検討を進めていく予定である。 このためポリマーゲルへの中性子照射実験と学会での発表を次年度に行うこととし、未使用金はその経費に充てることとしたい。
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