研究課題
本研究はCTおよび水PET/CTを用いて、腫瘍血流を定量解析することでBevacizumab(BEV)をはじめとする化学療法に対する治療有効性の予測および治療効果判定法を検証し、血流イメージング法を確立することである。最終年度として、これまでに得られたデータに統計的解析を加えて検討した。昨年度に検討できた水PET/CT上の非侵襲的入力関数を用いた低侵襲水PET/CTにより11症例(BEV使用群6例、非使用群5例)の検査を実施できた。被曝増加などの理由でperfusion CTの評価はできながったが、CT画像のみ用いた治療効果判定と水PET/CTを用いた治療効果判定を比較し、また、血漿および血清VEGF値、患者予後との相関性を検討できた。化学療法前後での血流変化は、BEV使用群で、治療後に有意に血流の低下が認められた。また、BEV使用群で、治療開始から腫瘍再発・再増大するまでの時間と血流比(治療後血流/治療前血流)との関係を検討した結果、両者間に正の相関が認められ(r=0.855)、y=0.27+0.0016xの回帰式を得ることができた。血流比が小さい症例ほど、腫瘍再発もしくは再増大するまでの時間が短いことが判明した。血漿・血清VEGF値との関連性は認められなかった。従来、BEVを追加した化学療法は生存期間を長くする(N Engl J Med. 2006;355:2542-50.)。しかし、今回の研究では血流低下が強い症例ほど腫瘍増悪までの時間が短かった。この結果は、CTを用いて評価したProc Natl Acad Sci USA.2015;112(5):1547-52.の報告と一致する。本研究ではBEV投与後1-2日と比較的早期に腫瘍平均血流量は低下しうること、また、BEV投与後早期に血流が大きく低下する群では、抗血管新生治療薬が有用でない可能性があることが示唆された。
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