平成25年度には、自己遮蔽型サイクロトロンでF-18製造時の室内の熱中性子束を測定した。他の核種製造時には自己遮蔽体の外側では検出されなかった。 平成26年度は、PET4核種(C-11、N-13、O-15、F-18)製造時に自己遮蔽型サイクロトロンのターゲット近傍に放射化箔(金箔及びカドミウム箔で覆った金箔)を設置し、 運転後に金箔の放射能をCdZnTe半導体検出器を用いて測定し、それぞれの条件における熱中性子束を計算により求めた。F-18製造時が最も熱中性子束が大きく、3.73×10^7 /cm2/sであった。C-11、N-13、O-15製造時の熱中性子束をF-18製造時と比較した場合、その値は約1/10程度であった。C-11、N-13、O-15製造時には、F-18製造時と比較して熱中性子の発生量が十分に小さいことが分かった。C-11、N-13、O-15の製造時にはF-18を製造したと仮定して熱中性子を見積もると、製造量が大きい場合には熱中性子を過大評価することとなる。その結果、放射性廃棄物量が増大する可能性がある。F-18以外の核種を製造する場合には、得られた比を用いて放射化を計算することにより適切に放射性廃棄物を扱うことが可能となり得る。 また、非自己遮蔽型サイクロトロンにおいてもF-18製造時に室内壁に放射化箔を設置し、同様に熱中性子束を測定した。熱中性子束は10^5-10^7 /cm2/s程度であり、壁の放射化を計算した場合にはクリアランスレベルを超える。
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