研究課題/領域番号 |
25861097
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
礒橋 文明 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 特任准教授(常勤) (00448036)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 放射線治療 / 急性期有害事象 / 骨髄抑制 |
研究概要 |
今回の研究目的は小動物用PET-MRI装置によるマウスに対する放射線全身照射前後の[18F]FLT の全身骨髄に対する分布の画像化と解析、病理学的標本との比較により、放射線の線量と治療前後の[18F]FLT のSUV変化及び病理学的変化の相関を検討する。このデータを基に、骨髄抑制を軽減させるため、ある一定のSUV値(閾値)に対する線量制約を求めることである。本年度は、研究目的の前提として、CTで同定した骨盤骨に対するパラメータが骨髄抑制とどれだけ相関しているのかを検討した。2008年から2013年に子宮頸癌術後照射を行った57例の骨盤骨の線量-体積パラメータと骨髄抑制の相関を検討したところ、放射線照射中のグレード3以上の骨髄抑制は18人(32%)に認められた。臨床因子(年齢、BMI、腫瘍ステージ、抗がん剤の量)はすべて骨髄抑制とは無関係であった。骨盤骨のV40(40Gy以上照射される骨盤骨の体積)とV45(45Gy以上照射される骨盤骨の体積)が骨髄抑制に相関していた。V45が40%を超えていると骨髄抑制の発生率が47%であったのに対して、40%以下では8%しか骨髄抑制が発生しなかった。また、V40が49%を超えると骨髄抑制が49%に発生したのに対して、49%以下では15%しか発生しなかった。この検討でCTでの線量-体積ヒストグラムにより骨髄抑制とよく相関することがわかった。この研究成果は2014年9月の米国放射線腫瘍学会でのポスターセッションに採択された。今後はFLT-PETでの線量-体積パラメータと骨髄抑制の関係を検討する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度の研究で、この検討でCTでの線量-体積ヒストグラムにより骨髄抑制とよく相関することがわかった。この結果は今回のFLT-PETを用いた検討の前提となる研究であり、この結果をもとに更に有用な骨髄抑制を起こす因子を検討することが可能である。動物実験に必要な研究施設、製剤等の準備はすでにできている。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究目的は、FLTという新規のPET製材を用いて、活性骨髄の同定を行うことであり、小動物用PET-MRI装置によるマウスに対する放射線全身照射前後の[18F]FLT の全身骨髄に対する分布の画像化と解析、病理学的標本との比較により、放射線の線量と治療前後の[18F]FLT のSUV変化及び病理学的変化の相関を検討する。このデータを基に、骨髄抑制を軽減させるため、ある一定のSUV値(閾値)に対する線量制約を求めることである。またその閾値をもとに臨床での応用も行う予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
本年度は研究の前提となる臨床研究を行っていたために、申請していた動物実験を行えていなかった。このことが次年度使用額が生じた理由であり、次年度に予定されていた動物実験を行い、経費を用いる予定である。 小動物用PET-MRI装置によるマウスに対する放射線全身照射前後の[18F]FLT の全身骨髄に対する分布の画像化と解析、病理学的標本との比較により、放射線の線量と治療前後の[18F]FLT のSUV変化及び病理学的変化の相関を検討する。このデータを基に、骨髄抑制を軽減させるため、ある一定のSUV値(閾値)に対する線量制約を求める。
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